ネットワークビジネス(MLM)における薬機法(旧薬事法)違反表現

Last Updated on 2023年12月16日 by admin

化粧品や健康食品、サプリメントを扱うネットワークビジネス(MLM)で勧誘活動をしている、あるいはこれから活動しようと考えている方におすすめの記事です。

ネットワークビジネス(MLM)で化粧品や健康食品の広告、販売を行う際は薬機法(旧薬事法)という法律の知識が必須となります。

薬機法では虚偽・誇大広告が禁止されていますが、これを知らずに活動していると、法律違反となる表現を使ってしまうかもしれません。

たとえば、化粧品の良さを伝えようとする時に「シミが消える」という表現をすると薬機法違反になります。

また、健康食品で「アトピーが治る」と表現するのも薬機法違反です。

今回は、化粧品や健康食品の広告・販売で注意すべき表現について、例を挙げながら解説していきます。

 

   

ネットワークビジネス(MLM)で注意したい法律・ガイドライン

 

薬機法(旧薬事法)違反表現

 

まずは、化粧品や健康食品の広告、PRに関わるルールにはどんなものがあるのかを見ていきましょう。

薬機法(旧薬事法)

薬機法は、それまでの薬事法から改正された法律で、2014年に施行されました。

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。

名称が長いため、「薬機法」や「医薬品医療器等法」という略称が使われることもあります。

ここでは「薬機法」と記載します。

 

薬機法は、医薬品や医療機器だけではなく、医薬部外品や化粧品などの定義も定めており、さらに健康食品の規制にも活用されています。

だからこそ、ネットワークビジネス(MLM)で化粧品や健康食品を扱う場合は、薬機法違反となる虚偽・誇大広告をしてしまわないように気を付ける必要があるのです。

 

景品表示法などにも注意

化粧品や健康食品を扱うネットワークビジネス(MLM)に参加するうえで注意したい法律は、「薬機法」の他に「景品表示法」などがあります。

景品表示法は消費者庁が出しているもので、一般消費者の利益を保護するために、広告での表現を規制するものです。

また、厚生労働省は、具体的にどのような表現が法律違反となるのか「医薬品等適正広告基準」で示しています。

薬機法や医薬品等適正広告基準、景品表示法といった法律やガイドラインは、どれも消費者がより良い商品やサービスをきちんと選ぶことができる環境を守るためのものです。

 

ポイント
・化粧品や健康食品の広告、PRでは、消費者がよりよい商品選びをできるよう、行きすぎた表現を法律で規制している。

ネットワークビジネス(MLM)で多い商材は化粧品・健康食品

日本だけでも1,000社以上あると言われるネットワークビジネス(MLM)会社では、実にさまざまな商材が扱われています。

共済や格安SIM、スマートウォッチ、教育商材、自己啓発商材、FXや暗号資産(仮想通貨)などの投資系、旅行サービスなど、数え上げればきりがありません。

しかし、ネットワークビジネス(MLM)会社売上ランキングで上位を占めているのは、ほとんどが化粧品や健康食品の会社です。

たとえば、アムウェイ、フォーデイズ、ノエビア、ニュースキンジャパン、アシュラン、三基商事、ベルセレージュ、フォーエバーリビングプロダクツジャパン、モデーアジャパンなど……。

これらの有名な会社はすべて、化粧品や健康食品を扱っています。

ネットワークビジネス(MLM)業界において、化粧品や健康食品がいかにシェアの大きい商材であるかが分かりますね。

参考記事:ネットワークビジネス会社一覧2020年・売上ランキング・選び方ほか

次の項目からは、化粧品と健康食品、それぞれの広告やPRで気を付けるべき表現を見ていきます。

 

化粧品の広告やPRについて

薬機法(旧薬事法)違反表現

まずは化粧品の広告やPRについてです。

 

化粧品と医薬部外品、医薬品の違い

化粧品の広告やPRでの表現をチェックする前に、「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」の違いを理解しておく必要があります。

一般的なスキンケア用品は、薬機法で「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」に分類されます。

「医薬品」とは病気の治療を目的とした薬です。

厚生労働省から、配合している有効成分の効果が認められています。

 

「医薬部外品」には、厚生労働省に承認された有効成分が規定量配合されています。

効果のある有効成分が配合されているため、「皮膚の殺菌」「育毛」などの効果・効能を謳うことが可能です。

医薬部外品は化粧品と医薬品の中間に位置します。

また、外箱や容器に「医薬部外品」と記載されています。

 

そして「化粧品」とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つためのもの」で、かつ「人体に対する作用が緩和なもの」です。

化粧品は医薬部外品で認められているような「皮膚の殺菌」「育毛」などの効果・効能の表現はできません。

化粧品で表現できる効能と、医薬部外品で表現できる効能は、それぞれに範囲が定められています。

 

多くのネットワークビジネス(MLM)では医薬部外品ではなく化粧品を扱っているため、次は化粧品の広告、PRにおける違反表現の例を見てみましょう。

 

化粧品の広告、PRにおける違反表現例

化粧品では具体的な物理的変化を謳うことができません。

よって、「シワが消える」「シミが消える」「ニキビが治る」「むくみがとれる」といった表現をすると薬機法違反となります。

また、「肌が若返る」「アンチエイジング」という表現もNGです。

他に「皮膚科専門医が推薦」のように、医師や病院などが推薦する表現もNGです。

化粧品の良さを伝える時は、たとえば「ヒアルロン酸が補給できます」「同窓会が楽しみになります」「すーっとお肌に入っていく感じがします」「娘と歩いていたら姉妹と間違われました」などの表現であれば使えます。

 

化粧品の効能の範囲 

一般化粧品の場合

効能範囲表については表 [1] をご覧下さい

1. 頭皮、毛髪を清浄にする。 31. 肌にツヤを与える。
2. 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。 32. 肌を滑らかにする。
3. 頭皮、毛髪を健やかに保つ。 33. ひげを剃りやすくする。
4. 毛髪にはり、こしを与える。 34. ひげ剃り後の肌を整える。
5. 頭皮、毛髪にうるおいを与える。 35. あせもを防ぐ(打粉)。
6. 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。 36. 日やけを防ぐ。
7. 毛髪をしなやかにする。 37. 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
8. クシどおりをよくする。 38. 芳香を与える。
9. 毛髪のツヤを保つ。 39. 爪を保護する。
10. 毛髪にツヤを与える。 40. 爪を健やかに保つ。
11. フケ、カユミがとれる。 41. 爪にうるおいを与える。
12. フケ、カユミを抑える。 42. 口唇の荒れを防ぐ。
13. 毛髪の水分、油分を補い保つ。 43. 口唇のキメを整える。
14. 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。 44. 口唇にうるおいを与える。
15. 髪型を整え、保持する。 45. 口唇を健やかにする。
16. 毛髪の帯電を防止する。 46. 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
17. (汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする。 47. 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
18. (清浄により)にきび、あせもを防ぐ(洗顔料)。 48. 口唇を滑らかにする。
19. 肌を整える。 49. ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
20. 肌のキメを整える。 50. 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類。
21. 皮膚を健やかに保つ。 51. 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
22. 肌荒れを防ぐ。 52. 口中を浄化する(歯みがき類)。
23. 肌をひきしめる。 53. 口臭を防ぐ(歯みがき類)
24. 皮膚にうるおいを与える。 54. 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
25. 皮膚の水分、油分を補い保つ。 55. 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
26. 皮膚の柔軟性を保つ。 56. 乾燥による小ジワを目立たなくする。
27. 皮膚を保護する。
28. 皮膚の乾燥を防ぐ。
29. 肌を柔らげる。
30. 肌にはりを与える。

(注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
(注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
(注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
*56 は平成 23 年に追加されたもの。

この範囲表は、ここにある言葉をそっくりそのまま使えと言っているわけではありません。
この範囲表を超えない言い換えは可能だが、超える言い換えは不可だということを言っているのです。
それゆえ、如何にして範囲表を超えない言い換えを表現するかライティングのテクニックが重要となります。そのコツを本講座で取得して下さい。
1つの一般化粧品で複数の効能を表現することも可能です。メイク用化粧品だがスキンケア的効能をうたうということも可能です。
基本的な考え方
化粧品は機能的な表現(たとえば、シミが消える)は言えないのが原則ですがこの表で認められている機能的な表現(たとえば、日焼けによるシミの予防)は言えるし、この表で認められている機能的な表現と同等の表現も言えます。
(たとえば、「肌を柔らげる」は認められているので「肌に弾力を持てる」も OK)
ポイント
・スキンケア用品は薬機法で「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」に分類される。
・「化粧品」「医薬部外品」で表現できる効能の範囲はそれぞれ法律で定められており、範囲を超える表現は認められていない。

 

健康食品、サプリメントの広告、PRについて

 

薬機法(旧薬事法)違反表現

次に、健康食品やサプリメントの広告、PRについてです。

健康食品とは、健康の増進に役立つ食品を指します。

サプリメントとは、錠剤やカプセルのように通常の食品とは異なる形状の栄養補助食品や健康補助食品を指します。

一般的な健康食品やサプリメントには薬機法上の定義はなく、食品に分類されています

したがって、医薬品のような効果・効能を謳うことはできません。

 

サプリメントや健康食品の中でも「保健機能食品」については、機能性の表示が可能です。

ネットワークビジネス(MLM)でも保健機能食品を扱っている会社は存在します。

よって、健康食品やサプリメントを扱う場合は、一般食品と保健機能食品の違いについて理解しておく必要があります。

 

保健機能食品の分類

「保健機能食品」は「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つに区分されます。

<特定保健用食品(トクホ)>

特定保健用食品は、特定の保健効果の科学的根拠があると認められた食品です。

国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。

たとえば「糖の吸収を穏やかにします」「体脂肪が体につきにくい」といった機能性の表示が可能です。

参考記事:薬事法ドットコム(保健機能食品において問題となる表示例)

<栄養機能食品>

栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど20種類について、消費者庁が定めた一定の基準量を満たしている食品です。

国への届け出は必要ありません。

たとえば「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」など、栄養成分の機能表示ができます。

参考記事:薬事法ドットコム(栄養機能食品表示)

 

<機能性表示食品>

機能性表示食品は平成27年に新しく始まった制度で、事業者の責任において、科学的根拠に基づいて機能性を表示した食品です。

国への届け出が必要ですが、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可は必要ありません。

たとえば「本品には〇〇が含まれるので、△△の機能があります」など、健康の維持、増進に役立つ機能性を表示できます。

参考記事:薬事法ドットコム(機能性表示食品「適正広告自主基準」)

このように、保健機能食品は機能性の表示ができますが、保健機能食品の分類はあくまでも食品であり、医薬品ではないことに注意しましょう。

 

サプリメント、健康食品の広告、PRにおける違反表現例

続いて、健康食品やサプリメントの広告、PRにおける違反表現例を見てみましょう。

繰り返しますが、一般的な健康食品やサプリメントは医薬品ではなく食品に分類されるため、医薬品と捉えられるような表現は禁止されています。

したがって、「アトピーが治る」「虫歯が治る」「便秘が治る」など、「治る」という表現はNGです。

また、「自然治癒力を高める」のように免疫機能を維持・増強する表現も使うことができません。

使える表現としては、たとえば「ミルク味でおいしく仕上げています」「健康的な生活を送るために役立ちます」「野菜不足が気になる方に伝えたい」「外食が多い方におすすめしたい」などがあります。

 

ポイント
・健康食品やサプリメントは、「一般食品」と「保健機能食品」に区分される。
・一般的な健康食品やサプリメントは、日本では食品に分類され、医薬品と捉えられるような効果・効能は表現できない。

 

インターネット・SNS集客での表現にも注意

 

もともとネットワークビジネス(MLM)は、まだインターネットがない時代に、口コミによって商品を広めるビジネスとして始まりました。

現在も口コミのみの勧誘を許可し、インターネット・SNS集客を許可していない会社は多いようです。

しかし一方で、インターネット・SNSを使った勧誘や広告、販売を許可するネットワークビジネス(MLM)企業も増えてきています。

現代の情報社会において、口コミ集客はもはや限界を迎えつつあり、今後はどのような商材を扱うビジネスであれ、インターネット・SNS集客が必須です。

実際に、ディストリビューターの方がInstagramやTwitter、ブログ、YouTubeなどを活用して商品の魅力を伝え、勧誘活動や広告、販売につなげるケースをよく見るようになりました。

当然ながら、対面による勧誘だけでなく、インターネット・SNSを利用して活動を行う場合でも、法律違反の表現を使うことはできません。

 

2020年度内には、消費者庁がアフィリエイト(ネットの成果報酬型広告)の大規模な実態調査に乗り出すことが分かっています。

全貌を把握してルール作りなどに活用されるようですが、必要であれば薬機法などの罰則の引き上げも検討されるそうです。

ネットワークビジネス(MLM)でもアフィリエイトの仕組みを取り入れている会社が増えており、インターネット上の広告における表現には今後も注意が必要です。

 

まとめ

ネットワークビジネス(MLM)で化粧品や健康食品、サプリメントを扱う場合に注意すべき表現について見てきました。

化粧品や健康食品は、ネットワークビジネス(MLM)の商材の中でも継続的な成功が期待される注目の分野です。

また、化粧品や健康食品のような消耗品は、自身が愛用者になりながら商品の良さを伝えられるという魅力もあります。

しかし、化粧品や健康食品の良さを伝える時には、つい法律違反となる表現を使ってしまいやすく、注意が必要です。

自信を持って商品を紹介し、勧誘活動を行うためにも、関連する法律について学び、ビジネスを成功に導きましょう。

初心者が成功しやすいネットワークビジネス(MLM)とはどういうものか、インターネット・SNS集客の現状とはどのようなものか、しっかり理解しましょう。

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