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正社員と契約社員、黙認できないこの格差

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正社員と契約社員の格差

契約社員が安心して働けるように、そして正社員との格差がなくなるようにと労働契約法が改正され、平成24年,25年に施行されました。(参照:厚労省HP)しかしながら企業側の対応は遅々として進まず、未だにその格差は一向に縮まる気配はありません。

ここでは雲泥の差とも言えるこの格差について詳しく考察し、解決への糸口を探っていきましょう。

正社員と契約社員の違い

先ず正員と契約社員の違いについて確認しておきましょう。

1)正社員とは契約期間を設定していない社員を指します。つまり希望すれば余程のことがない限り定年まで勤務できます。正しくは無期労働契約者といい、この契約を無期労働契約といいます。

2)契約社員とは1年契約、2年契約等契約期間を設定している社員です。有期労働契約者、有期労働契約といいます。パート、アルバイト、嘱託等名称が違っても期間を設定してる場合は契約社員に含まれます。契約終了後に労使双方が合意すればまた改めて契約し直します。一般的に狭義では「フルタイムで働く有期契約の労働者」という認識が定着しています。

正社員と契約社員の格差

契約終了後の労使双方合意による自動更新の場合は、正社員とあまり変わらない感じがします。しかし、労働条件の様々な項目において正社員と契約社員とでは、大きな格差がつけられている場合が多く見受けられます。

その格差を比べてみましょう。

1)契約社員雇用理由

契約社員の定義の変遷

昔は社員といえば正社員のことで、契約社員は存在しませんでした。近年経済発展と働き方の多様化で、新たに出現した雇用体系です。

2000年前後経済発展により高度な専門的技術やキャリアを持ち即戦力のある人材が求められ、それに応じて短期で特定目的の為になされた雇用形態でした。

厚生労働省の調査(1999年~2003年)によると「特定職種に従事し専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者」とあります。契約社員の定義は「専門的職種に従事する有期契約の社員」というものでした。契約社員とは専門的で特殊な人材だったのです。

ところが2007年の調査では「1日の所定労働時間及び1週の所定労働日数が正社員とほぼ同じで、期間の定めのある契約に基づき直接雇用されている者」,つまり「正社員と同程度働く有期契約の社員」へと契約社員の定義を変更しています。

契約社員雇用理由

以前の「契約社員」がその仕事を選んだ理由の第1位は、「専門的な資格・技能を活かせるから」というものでした。これに対し最近の契約社員の答えの第1位は「正社員として働ける適当な企業がなかったから」とあります(2007年「契約社員に関する実態調査」による)。つまり自ら望んだ職場ではないのです。

企業が競合企業に競り勝つ為に優秀な社員を採用しようと、他社よりも少しでも良い条件を提示します。給料、退職金、福利厚生面等、どんどん正社員の条件は良くなります。すると多くの社員を雇入れることが難しくなり、少数精鋭方式になります。

結果、足りない人員を契約社員という企業側の都合のいい形に出来上がったのが現在の契約社員の形態なのです。社員と同様の仕事の場合もありますが、専門的な仕事、重要な仕事は正社員、補助的な仕事、単純作業は契約社員というパターンも増えています。

また企業にとって景気の良い時には多くの人員を、悪い時には少ない人員で賄いたいのは戦略上理にかなっています。しかし正社員にはこのようなことはできません。契約社員を使えば企業の思い通りの期間雇用できます。人員調整の為にも契約社員を雇入れるのです。

以前企業は専門的な資格や技術、能力を求めて契約社員を雇入れましたが、最近は安く安易な条件で使える人材を求めて、また人員調整の為契約社員を雇入れることが分かりました。
正社員と契約社員の格差は初めから出来上がっていると言えます。

2)収入格差

驚きの格差を数字でお示ししましょう。

月給の格差

厚生労働省「平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」)には大きな格差が明らかになっています。

基本給、通勤手当、時間外手当を含む税込み給料は
正社員  :20万以下が14.5%、20万以上40万が62%
正社員以外:20万以下が78.8%、20万以上30万が12.2%となっています。

これはパート、アルバイトを含む数字で短時間勤務も含まれていて分析しにくいですので、正社員と同様の時間で働いていると想定される男性だけをピックアップすれば、その差がはっきりと見えます。つまり狭義の契約社員の数字で、以下の通りです。

正社員男性: 10万以下0%
10万~20万が6.3%
20万~30万が33.5%
30万~40万が30.7%
40万~50万が17%

契約社員男性:10万以下17.9%
10万~20万が41.2%
20万~30万が21.7%
30万~40万が9.5%
40万~50万が3.9%
50万以上が5.1%となっています。

正社員は20万以上の月給がほとんどなのに対して契約社員は20万以下の月給が多く、平均年収格差は一般的に100万円程度と言われています。
しかも正社員は勤務年数が嵩むほどに給料が上がるシステムになっているのに対し、契約社員は契約更新の際にも上がらないかもしくは僅かな上げ率に留まっています。

賞与(ボーナス)の格差

賞与に関しては法律や規則がありませんので、全ては企業の就業規則と、入社の際の契約書に従います。つまり、就業規則で正社員のみとされている場合では、契約社員に賞与を払う義務はないのです。

契約社員に賞与が支給されたとしても、正社員への支給額と比べ大きな格差が存在しています。では、その格差を具体的に検証しましょう。

平成29年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると大卒の場合
正社員は平均35万から始まり
20代後半で80万
30代で100万
40代で150万~200万
50代で200万上 と年数と共に上昇していくのに対し

契約社員は10万から始まり
30代、40代でも17~18万

50代で初めて20万を超えるという具合で、年数によって上がりません。
しかし50代後半~60代で60万と急に高くなり、70代で急降下という数字が現れるのは、正社員として働いてきた人々が定年となり新たに契約社員として働きはじめた為で、他の契約社員よりもずっと良い条件で契約した為と考えられます。

それも含めた契約社員全体の賞与平均は30万余(年2回支給とすると1回約15万)に対し、正社員は138万余(年2回支給とすると1約回70万)と100万円余りという大きな差となっています。

正社員と契約社員は初めからほぼ倍額の差があり、年数を重ねる毎にその差が大きく開くことが明らかになりました。

3)退職金格差

退職金に関しても賞与(ボーナス)同様 い法律や規則がありませんので、全ては企業の就業規則と、入社の際の契約書に従います。つまり、就業規則で正社員のみとされている場合では、契約社員に退職金を払う義務はないのです。

そして、契約社員の退職金について規定されていないことが多いのです。大企業をはじめ多くの企業は正社員には十分な退職金を支払い、契約社員には退職金制度がないというのが現実なのです。

では、企業によって金額、形態もまちまちですのでここでは平均値で比較したいと思います。

退職金の有無

大企業では93.6%、中小企業では72%が退職金制度を導入して、正社員の退職後の生活を保障しているのに対し、契約社員にはほとんどの会社が導入していません。
つまり老後の保障は何もなく、使い捨て状態ということです。

退職金の種類

退職一時金:いわゆる一般に言う退職金のことで、退職時にまとめて支払われます。

企業年金:確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金などがあり、生涯にわたり分割して支払われる退職金です。

前払い退職金:退職を待たず給料やボーナスにプラスして支払われる退職金です。
最近はこれらを組み合わせて会社独自のシステムを開発している企業も増えています。

企業はこのように正社員には手を変え品を変えて手厚くフォローしていますが、契約社員には何のバックアップもありません。

退職金の額

企業によって金額は大きく変わりますが平均値で比べてみましょう。
『就労条件総合調査結果の概要』(H25年、厚労省)によると20年以上勤務、管理、事務、技術職の場合、
定年退職者平均金額は:高卒で1,673万、大卒で1,941万、
会社都合退職者平均はやや低くなり
自己都合退職者平均は:高卒で1,153万、大卒で1,586万
早期優遇退職者は平常よりも高い数字になっています。

そして契約社員にはほとんどないか、あってもほんの「雀の涙」程度です。

 

正社員もご用心!忍び寄る退職金のない時代

最近では退職金をもらえない企業が増えつつあります。また、勤続年数を退職金支給条件とする傾向にもあります。契約社員だけでなく正社員でさえも「退職金のない時代」の生き方を考えるべきでしょう。

4)福利厚生格差

正社員と契約社員の福利厚生面の格差はどうでしょうか。

福利厚生とは

福利厚生とは社員が健康で豊かで幸福な生活を送れるための給料以外の特典です。従って社員だけではなく家族の幸福の為にもなる企業サービスも含みます。法定福利費と企業ごとの法定外福利厚生費があります。

法定福利費

法律で定められた福利厚生で健康保険や介護保険、厚生年金等の社会保険料の企業負担、年次有給休暇、育児休暇などを指します。これらは同じ時間、期間で働いているならば正社員も契約社員も同様に受けられます。(ことになっています)

大企業は徹底していますが、残念ながら一部の企業では契約社員の有給休暇や育児休暇を認めないことも見受けられます。また金銭的負担から逃れるために、労働時間を短縮させて社会保険に加入できないようにしている企業も少なからずあります。
ここでも格差は広がっています。

法定外福利厚生費

企業独自の福利厚生で、各企業が社員の為に様々な企画を提供しています。特に大企業は社員の福利厚生に相当な理解を示しています。
住居手当、精勤手当、早出勤務手当、交通費等の手当のほか病気休暇や、慰安会、社員旅行、各種同好会、学習支援、スポーツ支援等を含みます。

これらのサービスの多くは専ら正社員が享受し、契約社員は枠外なことが多いのが現実です。
しかし最近は「同一労働同一賃金」の考え方が次第に浸透して大企業を中心に正社員と同様に働く契約社員にもその恩恵を受けられるように、企業努力がなされています。

5)社会的信用

意外なところに格差があります。

上記の「目に見える格差」の他に、企業とは関係のないところにも格差が広がっています。
住宅等の高価なものを購入する場合や新たに会社を設立しようと銀行等に借入する場合には、正社員はすんなり通りますが契約社員は難しいことが多いのです。つまり社会的信用が低いため信用調査に引っかかってしまうからです。

銀行側は安定した収入がある人や、その仕事に長い間従事した人は信用し、そうでない人はなかなか信用しない傾向があります。再就職の際にも同様なことがあります。正社員として働いてきた人は信用度が高く、非正社員は低いのが、悲しい現状です。

私自身は正社員の勤務経験が2社、契約社員での勤務経験が1社あります。やはり契約社員時代の退職金は、一切出ませんでした。契約社員なのに正社員以上の仕事をしている、いや、させられているのが現実です。なのに給料も少ないばかりか退職金ももらえない、悲しい現実。

正社員への道を歩みつづけることもいいでしょう。しかし、その保障は得られません。たとえ、正社員であったとしても、企業や国のみをあてにせず、自らが副業をすべき時代に突入しているのです。契約社員あるいは正社員のままでも、ビジネスオーナーへの道を進まれてはいかがでしょうか?私はビジネスオーナーへの道を進んでいます。

今後の展望

これまで正社員と契約社員の格差を述べてきましたが、あまりの現実に契約社員には夢も希望も持てないと思われるでしょう。しかし「捨てる神あれば拾う神あり」で、今後に期待できる裁判がつい先日確定しました。

正社員と非正社員の待遇差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたるかどうかが争われた訴訟の判決が6月1日最高裁で行われ、「不合理」と判断を下しました(朝日新聞)。4人の裁判官全員一致の意見で、各地の高裁では徐々に判決が下っていましたが、最高裁では初めてなされました。

このことによりこれから政府の「同一労働同一賃金」の議論が進み、各企業の緊急な対策が迫られることとなり、契約社員も正社員同様の待遇を受けられる日も間近となりました。

しかし、わが国の大半を占める中小零細企業がどこまで実現できのか?その不安を打ち消すことはできません。「企業や国をあてにしない生き方」を各自が追求することが求められる時代なのです。

最低限のセーフティラインとして「同一労働同一賃金」という希望の灯が希望ではなく現実になる日が一日も早くなることを願って本章の終わりとします。

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