プレミアムフライデーの目的は?日本では成功したのか失敗したのか?

Last Updated on 2023年12月16日 by admin

経済産業省と経済界が揃い踏みで提唱したプレミアムフライデー。

関ジャニという鳴り物入りで登場した割には今いち存在感がありませんね。

まだやってるの?という声もチラホラ聞こえます。

一体何のために始めたのでしたかしら?そして成功したの?それとも失敗?調べてみました。

 

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プレミアムフライデーとは

経済産業省と経団連(経済団体連合会)が一体となって提唱・推進しているキャンペーンです。

毎月月末金曜日は午後3時に仕事を終え、買い物や食事・旅行などをしてプレミアムに過ごそうというものです。

平成29年2月から実施されています。

 

目的

経済活性化

消費税増税から冷え込んでいる個人消費を少しでも上げるため。

給料後の金曜日にいつもより早く(午後3時に)仕事を終え、その時間を消費などに充てようとするものです。

 

勤務時間短縮

勤務時間を短くしてワークライフバランスを整え、ゆとりのある生活ができるように政府が進める働き方改革の一環として。

要は「時間をやるからお金を使え」というものです。

 

アメリカの真似

感謝祭(11月第4木曜日)の翌日の金曜日(ブラックフライデー)はクリスマス商戦最初の黒字デーとして幸先の良い日とされています。

これにあやかろうと、日本では2016年頃から一部の大型小売店などでブラックフライデーとうたったのが始まりです。

 

プレ金の実情

プレ金の認知度は発表前の10月ですでに37.3%、1年で90%にも達しました。

しかし調査会社インテージの事後調査によると「職場で実施された」のは2.8%。「早く帰らなかった」は、96.3%でした。

名前だけが先行した有名無実なものとなっています。

出典 プレ金、実施率わずか2.8%で完全失敗…クソ忙しい月末に早帰り、官僚の「机上の空論」

 

大企業と中小企業、都会と地方、ホワイトとブラック、公務員と一般企業の差を垣間見る結果となっています。

当初経済効果は外食産業を中心に5000億円と試算されましたが、到底達するはずはありません。

初回はまだしも、2回目は多くの企業で年度末当日と重なり、ごく一部の企業・業種しか実施されず。そしてだんだん先細り。

今は実施されているのかどうかさえ分からない状態です。アメリカの様にうまくいきませんでした。

一体どうしてでしょう。

 

失敗した理由

多くの企業が参加できない

プレ金はただのキャンペーンであって規則や制度ではないので、政府からの補助金が出るわけではありません。

拘束性がないため、企業の自主参加となります。余裕のある企業は参加できますが手一杯の企業はそれどころではありません。

そもそもプレ金の受け皿である外食産業や旅行業、商業関係は、早く帰るどころか逆に労働時間が長くなり、仕事の密度も上がります。

 

運送業もダメ、銀行も無理ですし、病院や学校は?病人や子供たちを置いて帰るのでしょうか?

そして時給で働く人たちは、働く時間が減ること=収入が減ることで、自由業も関係なし。

購買力のあるリタイア層も関係ありません。

公務員や大企業に勤めるごく一部の人たちだけ恩恵を受けられるものです。

 

しかも月末の金曜日!

なんてとんでもない日を設定して、早く帰れる訳がない!という声がほとんどです。

経理会計は月末が締めで月の一番忙しい日。営業も成績の〆日ですね。

仕事も終わっていないのに上司から「プレ金だよ」って言われても腹が立つばかり。

結局早上がりしたのは上司だけという小言が目立ちます。

 

2回目の3月は年度末と重なりプレ金どころではなく、今年は4半期末も全部重なります。

そして3月、4月、6月、8月、9月、11月も最終営業日又は月末金曜日となります。

企業の実情を無視したお役人の机上の空論と言われても仕方がないですね。

 

発足から半年、昨年9月経団連の榊原会長は「実施の時期を含めて検討し直したい」と述べました。

そして世耕経済産業相は「産業界や消費者の意見を聞きながら、見直すべきところがあれば見直したい」と述べました。

「見直すところがあれば」とはどういうことでしょう?見直すとこだらけなのに、人格を疑ってしまいますよね。

 

土曜日も仕事

プレ金は土・日が休みの設定で考案されたものです。

厚労省の調査では日本の全企業の49%しか週休二日制が実施されていないとのこと。

しかもこれは正社員だけの数字で、全労働者の4割を占める非正規労働者や、個人事業者・個人経営者などは入っていません。

 

週休二日制さえも程遠い彼らにとってプレ金は何の意味もありません。

この恩恵を受けられるエリートは日本でどれ位いるのでしょうか?

経団連のお偉いさんや経済産業省のお役人さんには関係のないことかも知れませんがね。

 

使うお金がない

早く帰ってお金を使えと言われても、時間は出来ても使えるお金がなければどうしようもないですよね。

経済数量学者高橋洋一氏も同様に言っています。

出典 プレミアムフライデーに効果はある? 経済数量学者が明かす「経済」の真実

 

給料が増えたわけではないので、今までと同じ金額しか使えない。かえって時間が短いだけ給料が減る。

他の日に使うお金をプレ金で使うだけのこと。何が良いのか分からない。

「3時に帰らなくていいから、お給料上げてぇ~!」

 

有給も使えないのに

「ワークライフバランスのことを言うのなら、プレ金でたった2時間、3時間もらうより定時に帰して!」
とか
「有給を使える状態にして!」という意見も多くあります。

全くごもっともなお話で、いかに日本の労働環境が悪いのかここで政府と経団連に真剣に考えて頂きたいものですね。

 

 

 

とにかく休みたい!

プレ金の過ごし方についてカルチュア・コンビニエンス・クラブ)の調査では「家でゆっくり過ごす」(58.5%)がトップ。次いで「買い物」(35.8%)、「映画」(20.8%)、「家事」(20.3%)、「仕事以外の友だちと飲みに行く」(19.0%)という結果に。

出典 プレミアムフライデー「導入」は3.4%、何をする?

 

特に男性は「とにかく休みたい」のです。消費よりもワークライフバランスを望んでいるのが分かります。

女性の方がプレ金に前向きで、習い事や買い物など消費傾向が見られます。

 

地方は置いてきぼり

プレ金のイベントやキャンペーンは東京や大阪などの大都市の企業が中心で、地方ではなかなか浸透していないのが実情です。

人材不足でまるで不可能と断言している県もあります。

福井商工会議所の河田会頭は「福井で実施しようとは全く思わない」と政府のやり方に反対しています。

出典 https://mainichi.jp/articles/20170401/ddl/k18/020/233000c

地方創生総合戦略とマッチングすればもっと効果的だったかもしれませんね。

 

ミスマッチ

経済効果とワークライフバランスという相容れない二つのことをマッチングしようとしたことが間違いのもとでした。

働き方を変え、残業を減らし時短勤務にすれば給料が減る。すると個人消費が減るという流れは考えなかったのでしょうか?

結局どっちつかずの失敗に終わってしまいました。

 

プレ金は大失敗

結局プレ金でゆとりのあるプレミアムな生活を楽しんだのは、一部の大企業に勤務するエリート社員とお役人だけでした。

ちなみに安倍総理は美術鑑賞をしたり、別荘でのんびり過ごされたとのこと。

世耕経済産業相は友人夫婦とダブルデートを楽しんだとのこと。結構なことでございましたね。

 

プレ金効果も

それではプレ金は100%失敗したのでしょうか?

参加企業の多くが収入増

経産省よると参加企業は約130社ながら、特に小売・外食産業では一定以上の効果(15%~20%)が見られるとのことです。

出典 プレミアムフライデーが始動 客数・売上増で一定以上の経済効果

 

 

文化的な意味

渋谷大掃除パーティーなど様々なイベントが繰り広げられ、単に消費だけではなく社会文化としても定着してきました。

 

大きな成果も

串カツ田中が2017年11月期の第2四半期決算を発表。売上高は前年同時期比37.7%増の25億円、経常利益は33.7%増の2億5千万円とのこと。

プレ金の売り上げが他の週に比べて20%もアップしたと言います。

出典 串カツ田中、プレミアムフライデーで売り上げ2割アップ 「お店のPRにもなりまして…」

 

行動経済学では少しのメリットでは消費に繋がらないが、大きなメリット又は特殊性があれば消費に繋がるといいます。

プレ金ならではの特別セール、プレ金でしかないお得な商品(サービス)を提供できれば成功するという良い例です。

 

今後の課題

日にちの再検討

月末金曜日を止めて

1)第一金曜日に

2)月曜日午前を休みにし午後出勤に

3)いつでも好きな時に

など様々な意見が出ています・

 

働き方改革とのセットは止める

上記のようにミスマッチなことは止めて別々に考えましょう。

 

政府は手を引く

実施出来る企業に限度がある限り、政府が旗を振るのは止めましょう。

参加できる人や企業で経済同好会の様な感じでやっていただくのは大変結構なことだと思います。

余裕のある人たちが集い、お金をいっぱい使っていただければ国が潤い、我々庶民は助かります。

プレ金に限らず常にそうしていただきたいものですね。

 

全体の消費は増えない

しかし国全体のことを考える時、やはり個人で使えるお金が増えない以上、全体の消費は増えないでしょう。

日曜日に使うのが金曜に、A社からB社へお金が移動するだけのことです。

消費を増やしたいのなら減税が一番だと経済学者たちは言います。

 

良い案を打ち出して頂いてこの企画が少しでも成功するといいですね。