Last Updated on 2023年12月16日 by admin
ライティングと心理学 社会的証明
ウェブマーケティングにおいて、サイトやブログに記事を書いていく上での最終目標は、「成約させること」です。
小説や詩のような美しい文章を書く必要は全くありません。
「成約させる文章とは、そのような美しい文章とは根本的に違うのです。」
ウェブマーケティングを極めたいと思うのなら、まずは「成約させる文章」が書けるようにならなければいけません。
目次
成約させるためのライティングスキル
では具体的に、成約させるためのライティングスキルを磨いていくには、どうすればいいのでしょうか?
繰り返しですが、記事を書く目的はズバリ成約すること、売ること、コンバージョンさせることですね。
ですので、ウェブマーケティングでは読者を行動に導いていける文章が、いい文章だと言えるのです。
そのためには、読者の心理を読み、自分の意図する方向にうまく導いていく必要があります。
読者の心理を読み、誘導する。
すなわち、心理学の知識が必要なのです。
巷に出回っているライティングやマーケティング関係の書籍等は、すべてこの心理学に基づいて書かれています。
ですので、ネットで物を売る、集客するためには、心理学に基づいて、読者の興味・関心を引き、共感・信用を得て、行動(成約)に導いていける文章が書ければいいわけです。
心理学と言うと難しそうに聞こえるかもしれませんが、決して素人には理解不能なわけではありません。
世の中のあらゆるところでこの心理学は活用されています
例を挙げて説明します。
「いつもきれいに使っていただきありがとうございます。」
こんな貼り紙をコンビニやファミレスのトイレで見かけたことはないでしょうか?
ちょっと違和感がありますよね。別にこの貼り紙を見るすべての人が、いつもこのトイレを使っているわけではないし…
これは心理学用語で言う「社会的証明」を利用しているのです。
人は、ある行動を行う人が多ければ多いほどそれが正しい行動だとみなす傾向があります。
人と同じ(=社会的に証明された) 行動をする方がそれと反対の行動をするよりも、間違いを犯すこと少なくなるからです。これを社会的証明の原理といいます。
この例だと、
「いつもきれいに使っていただきありがとうございます。」=「他の人もきれいに使っている。」
だから社会的証明の原理によって、「自分もきれいに使わなければならない」という心理状態になるのです。
逆に「トイレはきれいに使いましょう。」といった貼り紙だったらどうでしょうか?
こう言われると、「きれいに使っていない人もいる。」というメッセージを与えてしまうため、逆効果になってしまいます。
「お客様の声」も実は社会的証明
コンビニやファミレスの貼り紙以外にも、この社会的証明はいたるところで利用されています。
ビジネスの場で利用されている社会的証明で、もっともわかりやすいのが「お客様の声」です。
商品の宣伝をするときに、先に利用した消費者の体験談を載せることによって、「これだけ多くの人が利用しているのだからいい商品に違いない」と思わせるのです。
情報商材等に使われている「お客様の声」には、無料素材集から取ってきたような写真を載せた、明らかに捏造したと思われるものも少なくありませんが、そうまでして「お客様の声」を載せるということは、それだけ効果があるからに他なりません。
それどころが堂々と偽造の証明を利用しているケースだってあります。
海外のコメディードラマを見ていると、録音された笑い声が、いたるところに入っていて視聴者の笑いを誘おうとしていますが、これも社会的証明を利用しているのです。
これは誰でも、本物の笑い声ではない、いわばサクラによる演出だということはわかっているにも関わらず、つられて笑ってしまう。
つまり効果があるからこういった演出を変わらず続けているわけです。
それだけ、この社会的証明の原理は強力だということなのです。
広告のキャッチコピーでも、
・○○部門で10週連続売上No.1
・累計売上○○万本突破
・インフォトップ売上ランキングで1位達成
といった類のコピーをよく見かけますよね。
こういった見せ方をすることによって、「この商品は売れている」「これだけ多くの人が買っているんだからきっといい商品だ」と思わせることが目的なのです。
明らかに広告と分かっていても、反応してしまう。これが人間心理というものです。
売る側の立場に立った時、これを利用しない手はありません。
もちろんウソや捏造はダメですが、常識の範囲内で大いに活用するべきです。
あなたの行動にも社会的証明が…
社会的証明の原理は、実は知らず知らずのうちに私たちの行動にも影響を及ぼしています。
高速道路でどのくらいのスピードを出すかは、他の車がどのくらいのスピードで走っているかによって影響を受けます。
制限速度を律儀に守る人なんて滅多にいませんよね。
初めて行くレストランではどのように振舞うべきか?というのは、他の客の様子をうかがいながら決めます。
あなたにも心当たりがあるのではないのでしょうか?
社会的証明の原理は、不確かさと類似性の条件下で最も強く作用します。
人は、どう行動すればよいのか確信を持てないときほど、他人の行動を参考にして自分の行動を決めようとします。
つまり、
状況が明確で判断材料が多い場合よりも、状況が不明確で判断材料が少ない場合のほうが、社会的証明の原理が強く作用するということ。
そして、社会的証明の原理は、自分と似ている人の行動を見たときに最も強く作用します。
どう振舞うのが適切かを判断するとき、一番参考になるのは自分と共通点がある他人の行動です。
私達は、自分と異なる人よりも、自分と類似した人の行動に影響されやすいのです。
先述したレストランの例だったら、他の客の振舞を参考にする場合、男性なら男性の、女性なら女性の振舞を参考にしようとするはずだし、できる限り自分と身なりや年恰好の似通った人を見つけて真似ようとするはずです。
少なくとも60代の男性が20代の女性の振舞を参考にしようとは思わないでしょう。
トップセールスの事例
社会的証明の原理は、セールスの現場でも応用されています。
例えば、雑誌や新聞の広告では「人気ランキング第1位」や「市場シェアNo.1」などのキャッチコピーをよく見かけます。
テレビのCMでは、一般の消費者が登場し、その商品がいかに優れているかを証言しています。
この場合、この証言者が明らかにサクラだとわかっている場合であっても、この宣伝効果は抜群なのです。
また、トップセールス達は、商談のときに既存顧客の事例を織り交ぜて話すようにしています。
このように相手の承諾を得たいときには、社会的証明の原理を応用すると承諾を得やすくなります。
他の多くの人々が、あなたの要請に応じたことを証明すればいいだけです。
雑誌広告で人気や実績をアピールするのも、テレビCMで消費者による証言を流すのも、トップセールスが既存顧客の事例を紹介するのも、「他の人はこの商品を選択しましたよ」というメッセージを伝えるために行なわれているのです。
注意すべき点は、私たちが、この社会的証明を、偽りの証言と知っている場合であっても、まんまと社会的証明のワナにはまってしまうことです。
それはつまり、私たちが本質的な部分ではなく表面的な部分で、ものごとを判断しがちだということの表れなのです。
問題なのは、私たちが社会的証明にあまりに反射的に反応するために、現実がともなっていない不完全なみせかけだけの証拠に、騙される危険があるということです。
「行列のできる・・・」は社会的証明の典型
行列のできるラーメン屋は、どうして店舗を改装してもっと多くの客が入れるようにしないのでしょうか?
そうすれば、回転率を上げて、機会損失を防ぎ、より収益を上げることができるはずですよね。
実はわざと店内を狭くして、行列を演出している場合があるのです。
行列を作ることによって、「この店は多くの人に支持されている」「だからきっと美味しいに違いない!」と思わせるために社会的証明を利用しているのです。
最近の募金箱はほとんどの場合、透明で中身が見えるようになっています。
そして、いつも結構な量の紙幣や硬貨が入っていますよね。
あれも、わざとたくさんのお金を入れておいて、誰からも見えるようにしているのです。
そうすることによって、「たくさんの人が募金している」「だから私もしなくては…」と心理誘導しているのです。
ラーメン屋や募金箱の例は、知らなかった人もいるかもしれませんが、テレビCMに出てくる消費者や、コメディー番組の録音された笑い声は、サクラによる偽物であることは誰でも知っています。
知っているけど反応してしまう。
これが社会的証明の怖さであり、広告を仕掛ける側からすると強力な武器となるのです。
影響力の武器
これはもちろん、ウェブマーケティングにも当てはまりますので、社会的証明をライティングに生かしていけば、恐ろしく反応のとれるコピーを書くことも決して不可能ではありません。
心理学の知識があれば、自分の意図する方向に他人を誘導することができてしまうのです。
おもしろいとは思いませんか!?
アフィリエイトでも、情報販売でも、ネットワークビジネスでも、ネットで物を売る、人を行動させるためには、ライティングスキルが欠かせません。
そのライティングスキルの根幹を成しているのが心理学なのです。
心理学を学ぶ上で古典的な書籍として、ロバート・B・チヤルディー二の「影響力の武器」が有名ですが、このロングセラーは下手なライティングやマーケティング関連の本を何冊も読むよりも、はるかに有益な情報が詰まっています。
それに人間の心理なんて時代と共に変化するものではないので、このような古典的な名著は現在でも、その価値はまったく衰えてはいません。
と言うより、次々に出版されるライティングやマーケティング関連の書籍は、この「影響力の武器」や、「シュガーマンのマーケティング」といった心理学の教科書の二番煎じのようなものです。
ご興味のある方は、ライティングスキルを磨くためにも是非読んでみてください。
ウェブマーケティングへの応用
社会的証明の原理をうまくウェブマーケティングに応用するにはどういった方法があるでしょうか?
ブログやメルマガの記事にもこの社会的証明を使うことはできます。
もっとも手っ取り早い方法は、読者からの意見や質問を記事上でシェアすることです。
そうすることによって、その媒体が多くの人に読まれているということをアピールできます。
私もこの方法は時たま使います。社会的証明を狙うという意味ももちろんありますが、読者の質問に答えることによって、よりわかりやすいユーザーフレンドリーな情報発信ができると考えているからです。
読者からの質問等が全然来ない場合は?
「ご質問等がありましたら遠慮なくメールしてください。」と積極的に行動を促しましょう。それだけでかなり反応が違ってきますよ。
また、読者からの質問に答えたり、相談に乗ったりすることは、社会的証明だけではなく返報性の法則も利用していることになります。
人は何か与えられると、無意識のうちに「その人に対して返さなければならない」と恩義を感じます。これが返報性の法則です。
この場合、質問した読者は、「質問に答えてもらった。」「相談に乗ってもらった。」という恩義を感じるようになるので、後々、何かオファーを投げた時に、お客様になってくれる確率はグンと高まるのです。
社会的証明に話を戻します。
アフィリエイトで商品を勧める場合でも、「先日ご紹介した●●について多くの問い合わせをいただいております。」とか、「すでに●件のご注文をいただきました。ありがとうございます。」等と書くことによって、人気のある商品であると思わせることができます。
この方法は多くのアフィリエイターが使っていますよね。
ラベリング・テクニック
さらに応用編ですが、「私の読者さんは、賢明で勉強熱心な人が多いので、きっとこの教材の価値を理解できると思います。」と言うと反応が上がる場合があります。
これは、社会的証明の原理に、ラベリング・テクニックを加えたものです。
人は周りから同じことを言われ続けると、本当にその通りの行動をしてしまいます。
例えば、「あなたは、家族思いのやさしいお父さんですね。」と友人から言われたとします。
そうすると、少なくともその友人の前では、「家族思いのやさしいお父さん」として振る舞おうとしませんか?
この心理を利用するのが、ラベリング・テクニックです。
「私の読者さんは、賢明で勉強熱心な人が多い」と言ってラベリングしておき、「きっとこの教材の価値を理解できる」、つまり、教材を購入するという行動を促しているわけです。
ちなみに、普段から「私の読者さんは、賢明で勉強熱心な人が多い」とか「常識のある人が多い」と折に触れて言及しておくと本当にそういった読者さんが多くなります。
そうでない読者さんは去っていくのか、それともそうでない読者さんもそんな風に変わっていくのかはわかりませんが…