Last Updated on 2023年12月16日 by admin
年々増え続けるパワハラ被害を防ぐため、厚労省は企業に対して防止策に取り組むことを法制化する方針を決めました。
業務上の指導とパワハラの線引きが曖昧で難しいとする経営者側と法規制を望む労働者側が長い間平行線をたどってきましたが、ここにきて厚労省の判断でようやく法令化へ踏みだしました。(11月16日朝日新聞)
しかし、今現実にパワハラにあっている人はどうすればよいでしょうか?待っている訳にはいきませんね。
苦しんでいる皆様のために、ここに解消法をリストアップしましたので是非参考にしてください。
目次
パワハラとは
今回法令化にあたり厚労省はパワハラを次のように定義しています。
「優越的な関係に基づき、業務の適正な範囲内を超えて、身体・精神的苦痛を与えること」
つまり業務に必要な指示・注意・指導等を適正に遂行することは上司の職務・権限であり、パワハラには当たらず、適正な範囲を超えた場合だけを指します。
この言葉の曖昧さが企業側が法制化を阻む原因でしたが、今回は指針でどのような行為がパワハラにあたるかの具体例も示すことになっています。
増え続けるパワハラ相談
去年全国の労働局にはパワハラを含むいじめ・嫌がらせ相談は72067件で、15年連続で増加。6年連続で、トップとなっています。
またインターネットでの従業員調査によると、
・過去3年間に「パワハラを受けた」人は25.3%
・「自分の周辺でパワハラを受けているのを見たり、相談を受けたことがある」人は 28.2%
・「パワハラをしたと指摘されたことがある」人は 7.3%となっています。
職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)平成 24 年度 厚生労働省委託事業
こんな場合はパワハラに当たります
多くの場合は上司や先輩からのパワハラですが、同僚同士や部下から上司へのパワハラもあります。
ITに弱い上司を嘲り、操作を教えないなどということはチラホラ見かける光景ですね。
厚労省ではパワハラのタイプを大きく次の6タイプに分類しています。
身体的攻撃(4,3%)
- 殴る・蹴る・叩く・物を投げつける
- 雑誌等を丸めて叩く
- 抑え込む
- 物にあたり威嚇する
- 煙草を近づける
等
精神的攻撃(55,6%)
一番多いのがこの言葉の暴力です。
- 「給料泥棒!役立たず!死ね!」
- みんなの前で失敗をさらけ出す
- 長時間執拗に説教する
- 弱点を責め続ける、罵声・暴言等
等
切り離し(24,7%)
- 必要な連絡事項を教えない
- 反省部屋・追い出し部屋などに入れる
- 自宅待機させる
- 質問しても答えない
- 無視する
等
過大要求(28,7%)
- 誰がやっても明日までに出来ない仕事を終業間際に言いつける
- 同僚たちの仕事を全部負わせてみんな帰ってしまう
- まだ経験のない仕事を何も教えずに押し付ける
等
過小要求(18,3%)
- 事務職なのに掃除だけ言いつけ事務をさせない
- 営業職なのに一日中倉庫番をさせる
等
プライバシー侵害(19,7%)
- スマホを取り上げメールチェックをする
- プライベートなことを執拗に詮索する
- 家族のことを指示する
等
これらの被害にあったらどうしたらいいでしょうか?
パワハラ解決策
記録を残す
いつ、どこで、誰が、どの様に(何のために)、何をしたか、それによってあなたはどうなったか(どう感じたか)、被害はどの程度か、5W1H+αできちんと記録しておきましょう。
これは後日然るべき所に相談するのに大切な資料となり証拠ともなります。
できればボイスレコーダーなどに記録することが望ましいですね。
あなたの正当性を証明してくれる頼もしい味方です。
病院に掛かった場合は領収書なども残しておきましょう。
自分を省みる
どんな理由にしろパワハラは悪いことですが、その原因がもしかすると自分にあるかも知れません。
一度振り返って自分の言動を思い起こしてみましょう。
もし、思い当たることがあればそれを相手に聞いてみます。
そして素直に謝り、今後このようなことをなくすにはどうしたら良いか相談してみましょう。
ここで意外にも相手の態度が変わったら今後パワハラはなくなるでしょう。
(この経路に関しては別の項で詳しく述べています。以下参照)
そうは問屋が卸さない場合は先ず
信頼できる会社の上司や同僚に相談する
特にパワハラしている人より上の立場の人に相談することは効果があります。
パワハラする人は大抵自分より目下の人には強いですが目上の人には弱いので、上司から言われれば態度を変える可能性が高いのです。
それができなくともこの様な事実があることを知ってもらうために誰かに相談することは重要です。
もしかしたら相談された人も同じくパワハラにあっているかも知れません。
黙っていては誰も分からないのです。
相談することでパワハラをしている人に自覚させるきっかけもを作ることができます。
相談したらその結果も記録しておきましょう。証拠になります。
相談できる人がいない場合は直接次のステップに進みましょう。
会社の相談窓口や人事課に相談
この様な係りの人には守秘義務がありますので、あなたの名誉棄損にならないよう、不利にならないように便宜を図らってくれます。
社内で解決しない場合は、
外部の相談機関に相談
総合労働相談コーナー(都道府県労働局)
解雇・雇止めなどの労働条件のほか、募集・パワハラなど、労働問題に関することを相談できます。
労使いずれも可。専門の相談員が面談又は電話で対応してくれます。
個別労働紛争のあっせん(中央労働委員会)
個別労働紛争のあっせんを行っている労働委員会、都道府県庁もあります。
労働条件で労使が争そい解決できなくなった場合は間に入り解決に導いてくれます。
法テラス(日本司法支援センター)
どこに相談したら良いか分からない時はこちらに電話すると、関連する法律や適切な相談機関・役所などを教えてくれます。
法的に解決したい人もこちらから入るのが良いでしょう。
みんなの人権110番(法務局)
電話 057-003-110
差別・虐待・パワハラなど全ての人権問題の相談にのってくれます。
解決サポート(裁判外紛争解決手続きの認証制度)
労働関係紛争について当事者の間に入り、話し合いによって解決を図る民間事業者を紹介してくれます。
法務大臣の認証を受けている機関ですから、ご安心ください。
こころの耳(働く人のメンタルヘルス、ポータルサイト)
働く人と家族にメンタルヘルスの相談窓口や医療機関を紹介しています。
パワハラそのものの解決ではなく、パワハラによる心の傷を癒したい人向きです。
確かめよう労働条件(厚労省)
労使双方に対して労働条件に関する疑問や質問に答えてくれ、適切な相談機関を紹介してくれます。
労災認定を受ける
パワハラによる強いストレスで精神疾患、精神障害になった場合は労働基準監督署の認定を受け、保障を受けることもできます。自分(家族も可)で出向き、書類申請します。
弁護士に相談する
パワハラによって不利益や被害が生じた場合は、訴訟によって損害賠償を請求することもできます。
その前に弁護士に相談して見込みなどを教えてもらうのが賢明です。
転職する
煩わしい手続きや争いを避けて手っ取り早くスッキリするには転職が一番です。
大事な時間と労力を無駄にしないで新鮮な環境に移れますね。
しかし、どこに行ってもこの様なことは起こりうるということは覚えておいて下さい。
まとめ
以上パワハラ解消法でした。しかし針小棒大に考え過ぎないことも大事です。
つらい気持ちは分かりますが、あまりに相手を追い詰めると逆パワハラとなり得るので気を付けましょう。
時として受け流す、気にしない、笑ってやり過ごすことでパワハラに強い自分に変身することも効果的です。
臨機応変に方法を替えて効果を確かめてみて下さい。一刻も早い解消を祈っております。